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全てを楽しめた – 国立医学部に桜咲いた3年生

今日は、国公立の大学受験で3月3日の卒業式に参加できなかった卒業生に卒業証書をお渡ししました。

その生徒のうちの1人の受験体験は、本当にすごく大変なものでしたが、一生忘れられないものでした。

1年生くらいの頃からずっと「医学部に進学したい」と言っていたその生徒は、国公立の大学の医学部進学を希望していました。そして、医学部合格のためにずっと頑張ってきていたのを知っていましたが、1月の共通テスト本番直前のこと。突然朝、

「実は、〇〇さんが、昨晩両足骨折をして緊急搬送され、入院しています。」

との連絡が入ったのです。会議中にその話を聞いた私は

「ぇえーーー!!!」

とものすごい雄たけび(と言うに値すると思います)を上げてしまい、心の底から心配と驚きとでいっぱいでした。こんな入試の直前に両足骨折で緊急搬送されてしまうという状況では、もう今年は受験することは難しいのかもしれない、とも思いました。

しかし・・・!ここからが彼女のスゴイ(スゴすぎる)ところです。

* 共通テスト: 両足の手術が必要でしたが、共通テストまでにその手術は行わないということで、車いすで予定通り受験することを自らの意思で決めました。そして、実際に車いすで試験会場に向かい、ここで・・・自己最高得点をたたき出したのです(!)

* 私立大学医学部受験: 1月下旬~2月中旬にかけ、3つの私立大学の医学部を受験しましたが、その時にも車イスで試験会場へ。その受験にも成功しています。

* 国立大学医学部: そして2月末に国立大学医学部の本番がやって来ました。飛行機でないと行けない場所に大学が所在していたため、車いすで飛行機に乗り(!)、本番を迎えたとのこと。そして・・・見事合格を勝ち取ったのです(👏)

私がもし彼女の立場だったとしたら、そのような厳しい状況は乗り越えられないと思うのですが、彼女はこうして入試直前に両足骨折という状況に直面しながら、現役で国立大学医学部合格という結果を出しました。

その間、どのように感じていたの?と聞いてみたところ、

「そういう全てを、楽しもうと思っていました。

こんなことでもなければ、車いすに乗って生活するということはないですが、いかに車いすで生活する人が大変な思いをしているか、バリアフリーと言いながらもバリアフリー対応になっていない場所が多いか、そんなことを自ら感じることができました。

そして、実際全てを楽しむことができたと思います。」

と、お医者さんにこれ以上フィットする人はいないというような強靭な精神力と思いやりの心を見せてくれました。本当に感動しました。将来は、総合診療医になりたい、という彼女。

「ぜひ、私のかかりつけ医になってください!」

と、思わずお願いしてしまいました。

桜が咲いた3月。この先、どのような医師として彼女が社会に貢献していくのか、期待しながら、とても楽しみにしています。