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あなたの内面からわき出たもの、それが「課題」であり「探究」するもの~青山学院大学林先生のお話~
いま、高等学校では「総合的な探究」の授業というものが必修とされていて、生徒たちは「課題」を見つけて解決することに取り組みましょう、と言われています。
この「探究」のプロセスの中で、生徒たちが最も苦戦しているのが、実は「課題の設定」ではないかと、生徒を長く見てきて私は感じています。
そのような中、今日は青山学院大学地球共生学部の林拓也先生が、生徒たちにお話をしてくださいました。
常日頃、私が心の底から感じていることを、林先生も断言してくださいました。
それは・・・
「みなさん、私はこの課題に取り組みますといって、”環境問題” “食料問題” “貧困問題” “人種の問題”などに取り組みます、と言っていませんか?あるいは”SDGs 〇〇番に取り組みます”などと言うこともありませんか?
これは、はっきり言って、あなたの課題、ではありません。
本当にあなたの内面からわき出たもの、日々の生活の中でどうにかしたいと思っているもの、それが課題であり、それを探究するということが大事です。」
!!!
これ以上の明快な生徒たちへのメッセージを私は知りません。
探究に取り組んでいる生徒たちからは毎年、このような言葉をたくさん聞きます。「私は環境問題に取り組みます。」「LGBTQの問題について取り組んでいます。」「私のテーマは格差問題です。」・・・ですが、そのたびに、彼女たちに
「環境問題といっても、ものすごい広い問題だよね。具体的にどんなことが困るな、問題だなと感じるの? 例えば私なら、世の中では削減しよう、というかけ声は山ほど聞こえても、毎週自分の家から大量なプラゴミが出ている、減っているという実感は全くない、普通に生活していてできるだけプラゴミを減らそうとしていてもこのような状況・・・これって問題ではないの?と感じるよ。みんなが自分の周りで感じる環境問題って何?」
「LGBTQの問題って、何が問題なの?当事者の人がいたら、その人が実際に感じている問題って何なんだろう?たとえば、日本で同性婚が認められている?あるいは生活するうえでの課題などはある?もっと具体的で身の回りにあるLGBTQの人に関わる課題は何?」
「格差問題というけれど、誰のどのような状況を格差と言っているの?あなた自身、これが格差だなと感じたことはどんなこと?」
というようなことを、常に言い続けてきています。生徒たちは、世間で話題になっているor教科書に単語として書かれている大きな概念を何となく「〇〇問題=課題」と言うのですが、「本当に自分が困っていたり、課題だと感じている」ということが話題になることが多くはないのが現状です。
そして、以前に林先生とお話したときに、先生がおっしゃっていたのは、これは特定の学校だけに限った話ではないとのこと。日本の高校生・大学生でよくあることなのだそうです。だからこそ、先生はあえて今日、みなさんにお話してくださいました。
まずはあなた自身が本当にどうにかしたいと思っていることを見つけよう。
→それが探究すべき「課題」で
→そういう自分が本当に何とかしたいということを学びに大学・学部を選んで進学し、
→その延長戦上にキャリア(職業)を考えて行こう
本当に、重要なお話をしていただきました。
みなさん、ぜひ「あなたの内面からわき出るもの」を、じっくり探してみてください。そうした「課題」を高校で「探究」していくことは、きわめて楽しくやりがいのあることです。(ちょっとネットで「〇〇問題」を調べてパワポにまとめるとは、大違いです)さらにはそれが、みなさんの人生の方向性を決めることにもつながります。